OHSSはほとんどが医原性の疾患であり、一般不妊症や体外受精において行われている過排卵刺激はGnRHa+hMG(刺激周期)によるものが一般的に多く、この刺激周期は多数の卵子を回収することが可能ですが一方で最大の危険性は合併症としておこるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)があります。このOHSS(卵巣過剰刺激症候群)はGnRHa+hMGによるIVF-ET周期の約6%に入院を必要とする症例が発症すると言われ、また一般のhMG+hCG療法においては約16%程度発症するといわれています。このOHSSは卵巣腫大をもたらすだけでなく、腹水貯留を引き起こし、その結果として血液濃縮が引き起こされ、この血液濃縮により腎不全や血栓症など生命予後にかかわる重大な合併症に進展することがあります。またOHSSになりやすい症例(ハイリスク群)としては以下のものが考えられます
1)多嚢胞性卵巣症例
2)35才以下の若年者
3)血中エストロゲン値が4000pg/ml以上の症例
4)多数の卵胞発育症例
5)黄体機能補充としてのhCG投与症例
6)GnRHアゴニスト使用症例
7)妊娠成立例症例(重症化することが多い)

などが考えられます。

hMG製剤などの投与により、腫大した卵巣から過剰のエストロゲンが分泌され、その作用により卵巣の毛細血管の透過性が高まり、アルブミンとともに血液中の水分が腹腔内に漏出します。その結果、循環血液量の減少をきたし、2次的に血液濃縮がおこり、このことによりヘマトクリット値の上昇、低血圧、さらには頻脈をきたします。また結果として尿量の減少をもたらします。一方、腫大した卵巣は過剰のエストロゲン分泌とあいまってレニンーアンギオテンシン系を介してアルドステロン分泌を刺激し、結果として腎臓でのナトリウムと水の再吸収を促進して、乏尿を促進するといわれています。 またhCG製剤の投与によりOHSSを発生、重症化させるリスクが高くなります。

   OHSSの程度は卵巣腫大の程度や症状などにより以下の3種類の重症度に分類されます。
1)軽症 体重増加、腹部不快感、下腹部膨隆感、超音波による少量の腹水貯留。
2)中等症 腹部不快感、下腹部膨隆感、悪心、嘔吐、ときに呼吸困難。
3)重症 頻脈、血圧低下、胸水貯留、乏尿、肝機能低下、腎機能低下。 とくに中等度以上になれば入院のうえ、アルブミン投与や場合によっては腹水穿刺や腹水濾過後の再潅流などといった積極的な治療が不可欠になってきます。

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