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| 不妊専門クリニックを初めて足かけ11年になろうとしております。大学病院での経験と教訓を生かしながら、また反省材料としながら体外受精を中心とした治療を進めてきたつもりです。このページをお借りして、不妊症治療に関する最近の考えをご紹介させていただければと思います。 |
| 皆様ご存じかと思いますが、最近の、結婚年齢の高齢化、仕事をもつ女性の増加という時代の流れや生活様式の変化により、年齢が進んでからの挙児希望を訴えられる御夫婦が増えています。 |
| また、不妊症治療の内容も日々進化し、現在では、体外受精が不妊症治療の中心になっているとも言えます。我々の施設で体外受精を受けられる方々の数も、平成9年:85周期、平成10年:669周期、平成11年:733周期、平成12年:711周期、平成13年:925周期、平成14年:975周期、平成15年:940周期(10月現在)と年々増加してます。また、体外受精を受けられる方々の年齢の分布を見ますと、24才以下:0.8%、25〜29才:6.8%、30〜34才:23.3%、35〜39才:40.7%、40〜44才:23.7%、45才以上:5.6%、と35〜39才代の方々がもっとも多くなっています。 |
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| 一方で、体外受精の結果としての妊娠率はといえば年齢が若いほど妊娠率は高くなることは明らかです。不妊症治療において、“女性の年齢からみて治療の限界があるのか”またあるのであれば“何才くらいまでなのか”が問題となると思われます。我々の施設での体外受精の対患者当たりの体外受精の妊娠率をみますと29才以下(35.3%)、30〜34才(24.2%)、35〜39才(15.4%)、40才以上(11.5%)と表のように40才を越えると妊娠率(%対患者)が著しく低くなります。この成績からしますと40才まででしたら2人に1人は体外受精で妊娠することが可能ですが40才を越えてしまうと10人に1人しか体外受精をもってすら妊娠することができないといえます。今後、増えてくると思われる35才以上の年齢の進んだ症例、あるいは、繰り返し体外受精を受けられた症例など“難治性不妊症”症例に対してどの様に対応してゆくかが大きなポイントとなるのではないでしょうか。 |
| このような点から考えて、私どもでは“難治性不妊症”症例で良質の卵子を作り出す方法として、自然周期の体外受精を中心に治療を進めています。自然周期の体外受精とはクロミッドの内服、あるいは薬剤無しで、自分自身の下垂体性ホルモンならびに卵胞発育促進メカニズムを利用して卵胞の自然な発育をまち、適切な時期に卵胞から卵細胞を採取する方法です。 |
| 自然周期採卵のメリットとして過剰刺激を繰り返すことにより卵細胞を無駄に消費してしまうことが少なくなります。またhMGの連続大量投与する必要がないので経済的な負担を減らすことが可能になりますし、来院回数も最小限に抑えることが可能です。ご自身が仕事を持っておられるキャリアウーマンの方々にも時間的、経済的負担が少なくて済みます。 |
| また、自然周期採卵法のメリットの1つとして従来のGnRHa(スプレキュア等)+hMG法では不可欠であった、いわゆる“切り替え”としてのhCG投与を行うかわりに、GnRHa(スプレキュア等)を1回ないしは2回経鼻噴霧(自己投与しかも自宅投与)することによって、一時的なフレアーアップ現象により内因性のLH分泌を惹起させこれを利用して採卵することも可能となります。従って、夜間のhCG注射をしなくて済むため治療を受ける方の時間的制約も軽減できますし、採卵時間の設定も治療を受ける方に合わせることも可能です。この事は、私どもの施設にお見えの約4分の1の他府県からの方々に対しても大きなメリットになると思います。ちなみに、このような自然周期法による卵巣刺激法による採卵卵細胞数は、34才までは平均3.3個程度ですが35〜39才になると2.7個と若干減少し、40才以上は平均1,2個程度となります。 |
| ところで、卵巣刺激法のトピックスといいますと、GnRHアンタゴニストの臨床応用があげられます。現在のところは、まだ臨床治験の段階ですが、近い将来、このGnRHアンタゴニストの臨床導入もは可能となりますので、今後、卵巣刺激方法が大きく変わってくる可能性があります。 |
| 一方で卵細胞の凍結技術の進歩も見逃せません。従来でしたら前核期か分割胚の凍結がスタンダードでしたが、最近では胚盤胞の凍結も可能になり、胚盤胞培養〜凍結が凍結胚移植法の主流になっています。また、未授精卵の凍結も可能になっていますので、抗ガン化学療法前に卵細胞を採取して凍結保存することも可能となっています。実際に、私どもでも白血病などの治療の前に卵細胞をお預かりして凍結保存させていただいています。 |
| このように体外受精を中心とした不妊症治療は、ますます一般化、ならびに先端化してきています。少子化対策の一環として、体外受精の保険適応や公費補助が様々な場で論じられていますが、必要とされる方々の増加、ならびに、ご希望される方々の増加を考えますと早急な対応が必要かと思います。 |
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(平成15年度 仁風会報より)
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